アメリカでの暮らしにも慣れはじめ、ジムでトップロープを始めて半年ほど経ったころ、知り合った日本人の友人、Tさんから外岩へのクライミングを誘われました。
Hiro: ヒロ外岩は興味があったんだけど、非常に敷居が高く感じて、敬遠してたんだよね。ジムみたいに管理されていないから、不安だったし、そもそもどうやってロープを設置するのかもわからない。自己責任の割合がとても高いし、教えてくれる人もいない。



ジムで知り合った友人が経験豊富だったので、案内やロープ設置も全部やってもらっただけでなく、トップロープの設置の仕方も教えてもらった。



ジムが主催する初心者を集めた外岩イベントが開催されることもよくあるので、もし知り合いがいなくても、そういったイベントを通して安全な楽しみ方を学べるよ。
この記事では、ミシガン州のグランドレッジで初めての外岩でのロープクライミング体験を振り返ります。グランドレッジの雰囲気、ジムとの違い、初めて外岩に行くときの不安や楽しさを共有したいと思います。
外岩に興味を持ったきっかけと敷居の高さ
「外岩」という言葉は、日本のジムにいたときも何度か聞いたことがあった。日本のジムでも「〇〇ボルダー(外岩)イベント開催!参加者募集!」みたいなポスターが貼られていることがあったし、興味もあったものの、なんとなく上級者向けみたいな雰囲気がありました。



実際には初心者にも優しいイベントだったかもしれないけど、結局、日本にいる間は外岩に行くチャンスがなかったんだよな。
その後、アメリカ・ミシガン州に引っ越してクライミングジムに通い出し、家族でトップロープで登るようになりましたが、外岩に行くという発想はこの時はまだありませんでした。


ある時、YouTubeでクライミング動画を見ていると、上級クライマーが壮大な景色の中を登っていく動画に出会いました。その動画は、外岩でのリードクライミングでした。



私たちが普段やっていたトップロープと違って、登る人が自分でロープを途中の支点にかけながら登っていくクライミングで、難易度が上がります。



やっぱり外岩は憧れるけど上級者向けだな、っていうのがその時の結論だった。「いつかはね~」みたいな。
そんな話を、ジム(Planet Rock)で知り合った日本人の友人、Tさんにしてみました。彼は、パートナーとジムに定期的に来ていて、Matthewや娘のMokaとも何度か一緒に登ったこともあります。
私は「いつかは登りたいんです」って言ったつもりが、「じゃあいつ行きますか?」って話になりました。彼は、パートナーと何度も外岩に行っているそうで、興味があれば娘も連れて、家族全員で行こう、という流れになりました。外岩でも、リードクライミングができれば幅が広がるものの、トップロープで登れる岩も多いということも、この時初めて知りました。ミシガンで、外岩初心者がトップロープで登るなら、グランドレッジがおすすめだとのことで、その日のうちに日程が決まりました。
ミシガン州グランドレッジ(オークパーク)概要
Grand Ledge、別名 Oak Park は、ミシガン州ロウアー半島では貴重な外岩クライミングエリアです。Grand River 沿いにある砂岩の崖を使って、トップロープを楽しむことができる外岩です。崖の高さはそれほど高くありませんが、ジムとは違い、川沿いの美しい自然の岩を登る楽しさがあります。
グランドレッジ(オークパーク)への準備とアプローチ
今回は、プロテクション、すなわち、ロープや、ロープ設置のためのアンカーやカラビナ等はTさんが用意してくれるとのことでした。私たち家族が持っていったリストは以下です。
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| クライミングシューズ | ジムとの兼用でも可。外岩で使った後はしっかり掃除しましょう |
| ヘルメット | 落下時の保護だけでなく、クライマー、ビレイヤーも「落石」を想定 |
| ハーネス | ジム兼用です |
| チョーク | お好みで |
| ブラシ | 帰り際、岩のチョークを掃除しましょう |
| GRIGRI | ビレイに必須 |
| アウタージャケット | 「待ち」時間があります。体を冷やさないように |
| 着替え、タオル | 服はそれなりに汚れますので気になる方は |
| 虫除けスプレー | 外岩は蚊が出ます |
| 軽食・飲み物 | 気軽にエナジー補給できるものがあると良いです |
| レジャーシート | リュックや荷物を地面に置く際や、急な雨から荷物を守る時に使います |
| 雨具 | 念のため。レインコートは防寒着になります |
当日、駐車場に朝8時に集合。日本人が多く住むミシガン州ノバイからだと、I-96 経由で1時間ちょっと。私たちが住んでいた場所からは1.5時間くらいかかりました。今回参加のメンバーは、Tさん、Tさんのパートナー、私たち家族です。
駐車場に簡易トイレはあるものの、事前にガソリンスタンドなどでお借りして済ませておきましょう。ついでに、飲み物や軽食を購入。
アプローチ
駐車場から芝生を抜けて歩いていくと、、、


こんな看板があります。


この看板を越えると、崖を降りる道があり、下っていくと、川に降り立ちます。Tさんは崖を降りず別行動でトップロープを設置。


初めての外岩で「Climbing!」「Climb On!」
トップロープが設置されれば、安全確保の手順は普段のジムと変わりません。ハーネス、器具、ロープを確認し、「Climbing!」「Climb On!」。


ジムとの違い
ジムにはマットがあり、照明があり、壁も床も整っています。でも外岩では、足元は土や石で、周りには木があり、虫もいます。天気や気温、岩の状態にも影響されます。
また、当然ですが外岩には、ジムとは違って色分けされたホールドはありません。ジムであれば、同じ色のホールドをたどれば、どこを持てばいいのか、どこに足を置けばいいのかがある程度分かります。しかし外岩ではどこを持てばいいのか、どこに足を置けるのかは、ある程度登ってみないとわからないこともあります。持てる部分を探しながら登ることと、外岩の緊張感により、ジムに比べてかなり疲れます。
普段ジムでは5.10~5.12を登っていましたが、外岩の5.8とか5.9でも難しいと感じました。
初めての外岩クライミング(トップロープ)
とにかく楽しい
その日は、家族全員が1〜2本のルートを登っただけだったけれど、それだけで一日中ジムにいたような疲れを感じました。もちろん、自然相手だという怖さもあります。落石、終了点の崩壊のリスクも意識しなければなりませんが、自然の中で、岩を登る楽しさを味わうことができました。
森の中で、川の近くで、自然の中で家族や友人と順番に登る。初心者向けのトップロープでしたが、ジムとは全然違う、新しい達成感がありました。


トップロープの設置や、ルートの確認等は、帯同したTさんに任せきりでした。快く連れて行ってくれたことに感謝したところ、「外岩を登りたい初心者がいたら、次はHiroから、その方に教えてあげてください。私もそうやって外岩を習いました」とのこと。そういった人間関係や信頼関係も、外岩の醍醐味だと思います。
まとめ
初めての外岩は、ジムとは全然違いました。ホールドに色はついていないし、どこを持てばいいのかも分からない。足元は土で、岩も思ったよりつるつるしている。ジムなら登れそうなグレードでも、外岩では全然うまくいきませんでした。でも、めちゃくちゃ楽しかったです。
うまく登れたから楽しかった、というより、外の岩に触っていること自体が楽しかった。川の近くで、木に囲まれて、家族や友人と順番に登る。1〜2本しか登れなくても、それだけで十分に特別な一日でした。
もちろん、外岩はジムよりも準備が必要です。トップロープの設置や安全確認は、自分たちだけで何となくできるものではありません。今回は経験のあるTさんに連れて行ってもらえたからこそ、安心して楽しむことができました。だから、初めて外岩に行くなら、まずは経験者と一緒に行くのがいいと思います。道具やルール、安全確認を教わりながら、無理のないルートを少し登る。それだけでも、ジムとは違う外岩の面白さは十分に味わえます。
グランドレッジは、ミシガンで本物の岩に触れられる貴重な場所でした。


